10cmフルレンジ用エンクロージャー

10cmフルレンジ用エンクロージャー


FF105WKとClarionユニット装着


クラリオンのユニット

↑ 16Ω・クラリオンのユニット。口径10cmとのことだが、有効振動直径が10cm近くあるので、他のメーカーなら口径12cmと言うかも。


それぞれのバッフル板リア

↑ バッフル板に取り付けたフルレンジユニット。FF105WKよりクラリオンの方が少し大きい。バスレフポートはFF105WKに合わせた長さなので、後でテストしてクラリオンの方がおそらく短く切るだろう。


  以前からOTLアンプのテスト用に16Ωのスピーカーを調達しようと思っていましたが、低インピーダンス時代の現在はなかなか見つかりません。

昔は16Ωのユニットも所有しており、10cmスピーカー用のエンクロージャーも自作してあったのですが、スピーカー関係はスペースを取るので、必要になったらまた作ればいいか、と引っ越しの際にほとんど処分してしまいました。

今思うと持ってくれば良かった・・・とやっぱり後悔することになりました。

OUTLINE

16Ωのユニットは写真のクラリオン製(製造はAIDENらしい)が手に入ったので自作することにしました。

但しこのユニットは細かいスペックが不明でちゃんと良い音がするのか不安がありましたので、フォステクスのFF105WKも購入し、そちらに合わせてエンクロージャーを設計することにしました。

FF105WKを選んだ理由は同サイズのフルレンジではM0(エムゼロと読む)が一番大きく、エンクロージャーを小さくしても低音が出しやすいと考えたためです。

今まで作ったスピーカーエンクロージャーは全てバッフルが交換できるよう作っていましたので、今回もそのようにし、通常は音の良さそうなFF105WKを使い、OTLアンプのテストの時だけクラリオンのユニットを搭載して使うようにします。

複数作ったエンクロージャーは全て昔CORALから発表されていた計算方法で設計すると、割と好結果でしたので、今回もコーラルテクニカルの公式で、基本はバスレフで容量を決めました。



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少し計算式を

コーラルは既に倒産してしまい現存しませんので、右にコーラルテクニカルから発表されていたエンクロージャーの容積、バスレフポートの断面積と長さの求め方を表示します。

この中で解りにくい、と言うか経験がモノを言うのはKの決め方とポートの開口面積でしょうか。

おそらくそのあたりが難しくてこの公式で設計を諦めてしまう方も多いと思います。

自作用のスピーカーユニットを販売しているメーカーでしたらスペックを公表していますので、そこからQ0(キューゼロと読む)を調べて左表からだいたいのK数値を決めます。

スピーカーのスペックって真空管以上にアバウトなので、あまり神経質になる必要はありません。

ポートの開口面積Aはこちらもメーカーから発表されているユニットの有効振動半径(a)から面積(π a 2)を割り出し、その1〜0.2倍の範囲で選ぶ、とありますが、実際には1なんでデカ過ぎてまず選べません。

もちろんポートの開口面積Aを大きくした方が低音がゆったりしますが、長さもかなり長くなるので私はだいだい0.2倍で決めています。つまりA(cm)= π a 2 × 0.2となります。

それでも想像してたよりも昔は相当ポートが長く感じましたが、最近のメーカー製スピーカーも以前よりはポートが長くなってきました。

また、ポート長を決める時、エンクロージャー裏板とポートの間隔がポートの直径以下にならないように注意する必要があります。



  バスレフエンクロージャーの容積

↑ バスレフエンクロージャーの容積。a=ユニットの有効振動半径(cm)、m0=等価質量(g)、f0=最低共振周波数(Hz)。なおこれに吸音材やバスレフポート等の容積分を足す。


Q0K
 0.3 3.0
 0.4 1.4
 0.5 0.76
 0.6 0.47
Kの決め方

一般に0.5〜3の間を選ぶ。小口径SPやm0の小さいSPで低音の増強したい場合は更にKを小さくする。低音を抑えたい場合はKを大きくする。


Q0f0b
 0.3 f0 × 1.3
 0.4 f0 × 1.0
 0.5 f0 × 0.8
 0.6 f0 × 0.7
ポートチューニング周波数の選び方

Q0とf0から求める。但しm0の大きいユニットは表の値より低めに取ることも可能。m0の小さいユニットは高めに設定した方が良い場合もある。


ポートの長さ

↑ ポートの長さ


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塗装前のバッフル

↑ 塗装前のバッフル。凸凹を木工用パテで埋めたところ。長めのポートは後で切って調整する予定。


吸音材の様子 ←吸音材は違う素材を3種類使っている。両サイドの黒いものはスポンジ状でカーコンポ用として売っていた吸音材、背面はグラスウール、底面の白いのは綿100%のカットメンでかなりソフトな素材。


 

実際の数値で当てはめる

フォステクスのFF105WKで設計すると決めていますので、数値を公式に当てはめて行くと、エンクロージャー容積3.4L、バスレフポートの内断面積10cm2、長さ12.4cmとなりました。

そこでポートと吸音材の体積を考えて約5Lで設計し、ポートは内断面積を守れば分けても良いとのことですので、大量に死蔵していた内径2.5cmのFAXの芯がありましたので、これを2本使うことにします。

ポートチューニング周波数はf0と同じにしましたが、これは長めで設計しておけば後で切って調整ができると考えたためです。

この計算式で設計するとフォステクスの推奨容量よりだいぶ小さくなりますが、それでも今までも好結果でしたのでこの通りにします。

ポートにしているFAXの芯は元は紙とは言え相当硬いですから、カッターなどでは切れません。

木と同じと考えれば大丈夫で切る時はノコギリを使います。

実は何度も作っている割には、意外にも四角いエンクロージャーを作るのは初めてで、今まで定在波を抑えるために5角形などの変形エンクロージャーばかり作っていました。

今回は四角いですのでちょっと神経質ですが定在波を抑えるために吸音材を複数組み合わせて使いました。



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接着中

↑ MDFを木工ボンドで接着中


ペイント前の完成品

↑ ペイント前。バッフル固定はM4爪付きナット、ターミナル端子板固定のビス穴はM3鬼目ナットが埋め込んである。


クラリオンのユニットを付けたところ

↑ クラリオン(アイデン)のフルレンジユニットを取り付けたところ。こちらのバッフルはグリーン系。


 

製作

板材は12mm厚のMDFをメインで使いました。バッフルは15mm厚も使えるよう12mm厚の時は3mm取り付け面が凹むようにデザインました。

これはもうひとつ目論見があってバッフルさえ用意すれば密閉型としても使えるようにし、その時はバスレフより気密を上げないといけないので、ガスケットが使えるようにしました。

何度もバッフルや端子を付けたり外したいすると木ネジではダメになってしまうため、鬼目ナットや爪付きナットを埋め込んで、普通のナベビスやバインドビスが使えるようにしました。

バッフルにユニットを取り付ける部分だけは木ねじを使っています。

爪付きナットと鬼目ナット

↑ 使用したM4爪付きナットとM3鬼目ナット。


塗装はアンプ製作用に買いだめしてあったスプレー塗料が長期在庫になってしまったため、今回在庫処分で使うことにして色を決めました。

スピーカーエンクロージャーの自作は数十年ぶりで、工作は問題なかったのですが、塗装は方法を忘れて少々失敗してしまいました。

と言うのも木工の場合、塗料の種類(油性・水性など)やハケ塗りかスプレー塗料などの方法、何が良かったか忘れてしまったため、片方をスプレー式の木部用プライマー(油性)、片方をハケ塗りのサンディングシーラー(水性)で下地処理をし、上塗り塗料も少し塗り方を変えてみました。

ところが塗り方以前に、木工の場合、重ね塗りとペーパー掛けの回数を多くしないといけないことを忘れていて、アンプと同じつもりでいたら塗料が足りなくなってしまいました。

そのため写真で見ると解りにくいですが、仕上がりがわずかに凸凹しており、キレイに塗り重ねる余裕がありませんでした。このエンクロージャーはただ塗っただけ、と言う感じです。言うほど汚くはありませんが。


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インプレッション

まずグラリオン(アイデン)のユニットを取り付けてのインプレッションです。

んー、普通です。もっとも本ユニットに合わせて設計してないので当然ですが、このユニット、ナローレンジでホントにOTLアンプの動作確認用として使うことになりそうです。

能率は割と高そうなのでボーカル帯域は明るくはつらつ、良く聞こえます。もう少しポートのカットオフ周波数を上げた方が好結果になりそうです。


  次にFF105WKですがこのユニット、すごいです。昭和の時代からフルレンジはいくつか試したことありますが、今までで一番いいかも知れません。

低域のゆったりさは作る前から想像できたのですが、高域がこんなに美しく出るとは予想外でした。ダテに尖ったアルミ合金センターキャップを使ったワケではなかったようです。

グラリオンとFF105WKはマグネットのサイズがほぼ同じですが、明らかにFF105WKのマグネットが強力で、金属を近づけた時のくっつき方が2倍位違う感じです。低域に差が出るワケです。




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FE103-Solを付けてみた

↑ 左・FE103-SolをFF105WKのバッフルに付けたところ・右・新たにバッフルを切り出してテストしてるところ。


FE103-Sol&テストバッフルとポート

↑ 新たにバッフルを作り、ポートは長さを変えて交換テスト。


ガスケット

↑ ガスケットがないのでネオセル皮付で作成。


 

ほどなくしてユニット追加

数週間して16ΩのFE103-Solが中古で手に入りましたので、こちらの方がクラリオンのフルレンジより音も良さそうだし16Ωだし交換の手間が省けるな、と思ってFF105WKを外して取り付けてみました。

同じメーカーの10cm同士だと取り付け寸法がまったく同じで交換がラクです。

で、結果ですが、スペックはだいぶ違いますがこちらもFF105WKに負けず深みのある良い音でした。M0が小さいので低域に差が出ると思われたのですが、予想に反してそれほど量感は変わらず、むしろ高域に差が出ました。

FF105WKの方が高域も良く伸びてフルレンジらしからぬ音です。かと言ってFE103-Solも過不足なく最近のフルレンジってムカシより進化してるんだな、と感じました。

但しどうも145〜150Hzあたりに強いピークがあり、そのあたりを出す楽器の音があると少し不自然です。

そこでバスレフポートのチューニングを変えるべく、追加でバッフルとポートを切り出して製作しました。

今度はじっくりテストできるよう、ポートも付け外しができるよう接着せずキツめに穴をあけ、完全に調整できてから色を塗るよう、塗装も省略しました。

FE103-Solは中古でガスケットが付いていませんでしたので、S5500のウーハーのエッジ修理で使って余ったネオセル皮付で作成しました。

この文を書いている現在、まだ完全にピークを抑えきれていませんので、時間があればもう少し色々いじってみようと思います。

具体的にはポートの長さだけでなく開口面積も変えたり(幸い外径が同じでもっと肉厚の薄いFAXの芯もある)、今度は密閉型もテストしてみようかと考えています。


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