↑ 本機は数十年843よりもCK1006がアンプの顔になっているので、オリジナルを損ねないよう改造してもパイロットランプ等は設置せず、ガス発光が一番目立つようにした。


測定結果

3ヶ月前にオーディオアナライザーが故障してしまったため、今回は歪率の測定ができず、それ以外の結果を表示します。

他の測定はファンクションジェネレーターとミリボルトメーターがあるので、今回はそちらで全て計測しました。

アナライザーを何とかしたら、そのうち歪率も追加掲載いたします。

本機は最初に製作した1982年頃はたいした測定器を所有してなかったため、改造前に旧回路での測定(と言っても10年以上前?・掲載し忘れていました)もしておきましたので比較表示にします。

但し1982年頃と違ってだいぶ古い(と言っても使用頻度は少ない)球をそのままで測定したため、少し結果が悪く出ているのと、左右で差があることをご了承ください。


 

843は当時と違って複数所有しているため、使い込んだ方をセットしています。左は刻印で作りが若干古いタイプ、右はプリントでそれより少し新しいタイプです。と言ってもST管もあるらしいので、全てビンテージ品であることには変わりありません。

固定バイアスの場合、通常は左右のパワー管にバラ付きがあっても調整でアイドリング電流を揃えられますが、今回はエミッション低下具合でどの程度違うか調べるために、カソードフォロワー段の電圧を左右とも同じに合わせ、パワー管のアイドリング電流は成り行きに設定しました。

ドライバー管も製作当初はシーメンスのECC81を使っていましたが、今回は東芝の12AT7を使用しています。

この状態で残留雑音は改造前で約0.8mV、改造後は約0.4mV(左右とも)でした。タンゴのトランスは優秀です。


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図1:入出力特性




入出力特性です。この通り固定バイアスにして電圧効率が上がったのでグラフが少し左に移動し、入力感度が上がっています。

最大出力も当然グリッドをプラスの領域まで使っていますのでかなり上がりました。と言うより今までが過保護で低すぎたまでです。

改造前の旧出力はなんと1Wあたりでクリップしだし、最大出力は2Wちょっとしか出ていません。

改造後は左右で差がありますが、3Wあたりでクリップし、その後も入力を突っ込んだだけパワーが出て歪率を気にしなければ6W以上は出ています。

これが本来のA2級動作のカソードフォロワー直結ドライブで、プレート損失で旧62%の動作を改造後85%にしただけで出力3倍ですから、圧倒的に効率良くなりました。


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図2:周波数特性




周波数特性です。こちらは改造前と後であまり変わっていません。843や出力トランスの特性がそのまま出ています。

低域がわずかに改造前の方が良く出ていますが、これは-2dBのわずかなNFBが掛かっていたためです。

改造後は入力感度を気にして無帰還にしていますので、その差が出ています。



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図3:ダンピングファクター




オン-オフ法で測定したダンピングファクターです。改造前は1kHzしか計測しなかったため、グラフに示しませんでした。

その改造前は2.6で改造後も平均が2.5前後ですので、ほとんど変わっていません。

わずかに改造前の方が高いのはこれもNFB-2dBが掛かっていたせいで、基本的に843の内部抵抗とOPTが同じなので予想通りの結果です。

無帰還でも2.5前後が確保できるのは3極管の良いところです。




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インプレッション

あれ、やっぱり送信管の音だ。定数の取り方によっては音が変わるかな?と思ったのですが、それほどでもありませんでした。送信管らしい澄んだ音です。

出力が増えた分は良くなっています。管球アンプは最大出力付近がだいたい歪率5%以上になるので、本機で言えば出力が3倍になったと言うことは1W付近の歪率が相当下がったと言うことになります。(測定できてないので予想で言ってますが)

改造前の歪率は簡易的に測定してあり、1Wで約2%でした。

つまりこの差はボリュームを上げて大きな音で音楽を聞いている時に影響します。実際、そのような時に送信管らしい澄んだ音が楽しめますので、今回の大改造はムダではなかったと思います。



 

今後、改造するとしたらやはり初段とカソードフォロワー段を12AT7から12AX7+12BH7を左右に分けて使うことでしょうか。

改造してから言うのも何なんですが、翌々考えてみたらセパレーションってそれほど視聴しても影響を感じないので、やっぱりしっかり843を余裕を持ってドライブできる方が良いと思います。

セパレーションたった1つで天秤にかけるものが多すぎたかも知れません。おそらく12AX7+12BH7にすれば入力感度、出力、歪率、複合管(双3極管)のユニットバランスなど、多くが改善できます。

まあ、今回はあるものをそのまま、なるべくオリジナルに近い状態で改造することが目的でしたので、しばらくこれで使うことにします。




↑ 本機はサイズ感が丁度いい。当時ビスも皿加工するなどちゃんと作ったので数十年壊さずに使ってきたと思う。やっぱり丁寧にちゃんと作ることは重要です。電源トランスも少しキズがあってそこからサビが出てきたので、いずれ分解再塗装するかも。





↑ 本機は三栄無線のシャーシーを使用しているため、ボンネットが付属している。球が良く見えるし放熱性も良く、ボンネットはこれが一番気に入っている。





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